日本栄養・食糧学会誌
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玉葱の加熱による褐変
溝井 雅子澤山 茂川端 晶子本間 清一
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1992 年 45 巻 5 号 p. 441-447

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抄録

炒め玉葱の褐変について, いくつかの外的条件が与える影響および褐変に伴う成分の変化を検討し, 以下の結果を得た。
1) 玉葱の褐変反応はさまざまな環境により影響を受け, (1) 温度は高いほうが褐変が起こりやすく, とくに100℃以上では著しく反応速度が高まった。(2) pH3~8の範囲ではpHが高いほど褐変反応は促進された。(3) 褐変には無機イオンの存在が影響し, Fe3+, Cu2+は促進し, Mn2+, Zn2+は抑制した。EDTA添加では反応が抑制された。(4) 脱気により褐変は抑制されたが, 紅変現象が起きた。この反応は酸処理により完全に抑えられ, 酵素が関与している可能性が示唆された。
2) 加熱により遊離糖と遊離アミノ酸が減少した。遊離糖のうち, 還元糖量は増加したがシュークロースの減少量がそれを上回り, 遊離糖の総量としては減少した。アスコルビン酸量も加熱により減少したが, その量は糖やアミノ酸に比べてごくわずかであった。デヒドロアスコルビン酸, レダクトン, 3-デオキシグルコソンはいずれも加熱により増加した。なかでも3-デオキシグルコソンの増加が顕著であった。

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