日本栄養・食糧学会誌
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精巣摘除および高P食投与がラットの生体内Ca, Mg, P代謝に及ぼす影響
増山 律子上原 万里子鈴木 和春五島 孜郎
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1994 年 47 巻 4 号 p. 267-271

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抄録

トリポリP酸カリウム (K5P3O10) を用いてPレベルを0.5% (正常P食) と, 1.5% (高P食) の2段階に調整した飼料をWistar系雄ラットに投与し, さらに精巣を摘出除去 (摘除) し, 高P食投与およびテストステロンの存在が生体内Ca, Mg, P代謝にどのような影響を及ぼすかについて検討を試みた。
Caの尿中排泄量に精巣摘除の影響は認められず, 高P食投与により尿中Ca排泄量は有意に減少した。また, Pの尿中排泄量は高P食投与により有意に上昇し, 精巣を摘除することにより有意に減少した。腎中Ca, Mg, P量は高P食投与および精巣を摘除することにより有意に増加した。血清中Ca濃度に対する精巣摘除の影響は観察されなかったが, Mg, P濃度については精巣を摘除することにより有意に低下した。大腿骨乾燥重量1g当りのCa, P量は高P食投与および精巣を摘除することによる影響は観察されなかった。
血清中副甲状腺ホルモン (PTH), カルシトニン (CT) 濃度は高P食投与することにより有意に上昇した。また, 精巣を摘除することによりPTH濃度は有意に上昇し, CT濃度は逆に有意に低下した。さらに尿中cAMP量は高P食投与により有意に低下した。

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