抄録
1) 絶食による肝TGのリノール酸比と肝臓lipogenesisの関係を知るため肝TGとそのリノール酸比に及ぼす絶食と絶食-再摂食の影響を比較し, さらに, 再摂食時の高脂肪食投与の影響についても検討した。
2) 肝TGのリノール酸比の絶食による増加が血清FFAのリノール酸比の増加をともなわなかった。
3) 絶食による肝TGの脂肪酸組成比の変化として, 飽和脂肪酸, モノ不飽和脂肪酸の減少と, 多価不飽和脂肪酸の増加がみられ, 絶食-再摂食時の肝TGの脂肪酸組成は絶食と逆の応答を示した。
4) 絶食-再摂食による肝TGとその多価不飽和脂肪酸組成の減少は高牛脂食再投与の場合には抑制された。
5) 肝TGのリノール酸比と肝G6PDH活性との間に負の相関関係が認められ, 肝臓のlipogenesisの変動は肝TGの多価不飽和脂肪酸の相対比に影響することが示唆された。