日本栄養・食糧学会誌
Online ISSN : 1883-2849
Print ISSN : 0287-3516
ISSN-L : 0287-3516
シイタケーフラクトオリゴ糖混合物の高血圧ラットに及ぼす作用
大塚 正道久保 孝夫
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 48 巻 2 号 p. 109-114

詳細
抄録
湿熱処理 (121℃, 15分) を施した干しシイタケとフラクトオリゴ糖の7: 3からなる混合物 (SK-204) が高血圧ラットに及ぼす作用について検討し, つぎの結果を得た。
1) SHRに10%SK-204混合飼料を与えた群では, 14日以降に血圧上昇抑制および50日後における心臓の体重当り相対重量が対照群に対して有意に減少した。また, 脳および腎臓の病理組織学検査結果, 脳について基質的な変化は減弱する傾向を示した。
2) Dahl Sを2群に分け, 1群は対照群として8%食塩混合飼料と, 他の1群にはこれに10%の割合でSK-204を混合した飼料で飼育した。28日後の収縮期血圧に有意の差が認められた。31日以降, 対照群に体重, 血圧の低下, 自発運動の抑制, 運動障害, 前後肢の麻痺発生等がおこり, 脳内出血がみられた。SK-204を併食すると, これらの症状がみられず, 心臓重量も対照群に比べ有意に減少した。また, 腎臓の病理組織学的検査による基質的障害も減弱する傾向を示した。
以上, SK-204は血圧上昇抑制作用に加え, 心肥大および脳出血の発症を抑制する作用をもつことが示唆された。
著者関連情報
© 社団法人日本栄養・食糧学会
前の記事 次の記事
feedback
Top