日本栄養・食糧学会誌
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ラットのガラクトサミン肝障害ならびに四塩化炭素肝障害に及ぼす各種タンパク質の投与効果
江頭 祐嘉合高橋 牧太田 剛雄真田 宏夫久能 昌朗三井 文人国分 東洋彦
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1995 年 48 巻 4 号 p. 291-297

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抄録

4週齢 (体重50~60g) のWistar系雄ラツトを用い, 各種タンパク質 (カゼイン (C), 卵白 (E), ツェイン (Z), 小麦グルテン (G)) の混合食がガラクトサミン肝障害ならびに四塩化炭素肝障害に及ぼす影響を血漿トランスアミナーゼ (グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ (GOT), グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ (GPT)) 活性値および血漿MR比 (遊離分枝鎖アミノ酸濃度/遊離芳香族アミノ酸濃度) を指標に検討した。
1) 各種飼料をラットに14日間与えて飼育し, 14日目にD-ガラクトサミン塩酸塩溶液 (800mg/kg体重) をラットの腹腔内に注射し, 20時間後に解剖した。小麦グルテンを含んでいる (E10%+G10%, E20/3%+G20/3%+Z20/3%) 群は, ガラクトサミン投与による血漿GOT活性の上昇を, 対照群 (E20%) に比し有意に抑制したが (p<0.05), MR比は各群間に有意差は認められなかった。
2) 四塩化炭素のオリーブ油溶液 (50%v/v) を背部皮下に週2回11週間注射 (1ml/kg体重) して四塩化炭素肝障害ラットを作成し (その間は市販固形飼料 (CE-2) を投与), その後各種タンパク質の混合食をラットに7日間与えた後解剖した。その結果, 小麦グルテンを含んでいる (E10%+G10%, E20/3%+G20/3%+Z20/3%) 群はカゼイン単独群 (20%C), 卵白単独群 (20%E) に比し血漿GPT活性値の上昇が認められたが, MR比は各群間有意な差は認められなかった。
以上の結果から, メカニズムの異なる肝障害においては小麦グルテンは異なる作用を示すことが明らかとなった。

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