日本栄養・食糧学会誌
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血清ミネラルレベルに及ぼす糖尿病治療食の影響
鈴木 和枝鈴木 一正金澤 眞雄藤波 襄二
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1996 年 49 巻 6 号 p. 315-320

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抄録
血清ミネラルレベルに及ぼす糖尿病の治療, とくに食事療法の影響を知るために, 糖尿病患者26名を対象に入院治療前後における血清ミネラルを測定した。また, 糖尿病治療食のミネラルと食物繊維含有量の測定も行った。糖尿病治療食は, 入院患者に実際に供与されている病院給食の1, 200kcal食と1, 840kcal食の各31日分を試料として分析した。血清ミネラルのうち, 血清鉄と血清カルシウムは治療前に比べて治療後が有意に低下した。血清銅は低下傾向を示した。血清亜鉛はほとんど変化しなかったが, 亜鉛酵素のアルカリホスファターゼが治療後に有意に低下した。糖尿病治療食におけるミネラルの実測値からは, 摂取不足の可能性が高い元素として鉄, 亜鉛, マグネシウムのほか, カルシウムと銅もあげられた。食物繊維の実測値においては, 過剰摂取の傾向はなかった。以上, 治療後にみられた血清ミネラルレベルの低下には, 糖尿病治療食によるミネラル摂取不足の影響が大きいと考えられた。
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