日本栄養・食糧学会誌
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ラット組織ペンタクロロベンゼン蓄積に及ぼす飼料への卵黄リン脂質とオリーブ油, サフラワー油, DHA濃縮油の各混合油脂添加効果
細山田 康恵黒田 圭一萩原 清和小畠 義樹
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1998 年 51 巻 5 号 p. 251-258

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抄録
血清脂質濃度と組織へのペンタクロロベンゼン (PECB) 蓄積に及ぼす各種油脂と卵黄リン脂質の相互作用についてラットにより検討した。10%オリーブ油, サフラワー油またはDHA濃縮油を含む実験飼料を調製した。また, それら油脂の1/2を卵黄リン脂質に置換した実験飼料も調製した。いずれの飼料にも0.1%PECBを添加した。実験飼料を2週間投与後, 血清脂質濃度および血清と組織PECB濃度と, 糞中への見かけのPECB排泄比率を測定した。
1) 血清総コレステロール, トリグリセリド濃度は, オリーブ油>サフラワー油>DHA濃縮油の順に低下を示した。オリーブ油群とサフラワー油群の1/2を卵黄リン脂質に置換すると血清脂質は著しく低下した。しかし, DHA濃縮油の場合は卵黄リン脂質置換効果はなかった。
2) 肝臓, 副睾丸周辺脂肪のPECB濃度は, オリーブ油>サフラワー油>DHA濃縮油の順に低下した。オリーブ油とサフラワー油の1/2を卵黄リン脂質に置換すると, それら組織のPECB蓄積が明らかに低下した。しかし, DHA濃縮油の場合は卵黄リン脂質置換効果はなかった。
3) PECB糞中排泄率は各群間に差は少なかった。肝臓薬物代謝酵素P-450, 血清GOTとGPTのいずれも各群間に差は見られなかった。
これらの結果から, PECB蓄積は高不飽和度の脂肪酸により抑制されること, 低不飽和度の脂肪酸と卵黄リン脂質の組合せで, PECB蓄積は強く抑制されることが推定された。また, 飼料脂質によって受ける血清脂質と臓器PECB濃度の変化の傾向は強く相似すると推定された。
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