日本栄養・食糧学会誌
Online ISSN : 1883-2849
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食品に含まれる機能物質と肥満に関する研究
平成12年度日本栄養・食糧学会学会賞受賞
奥田 拓道
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2001 年 54 巻 1 号 p. 35-40

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抄録
肥満とは脂肪細胞に異常に脂肪が蓄積した病態である。この脂肪蓄積は脂肪の合成が分解を上回ることによって起こる。脂肪細胞における脂肪合成の材料は, グルコースとリポタンパクであるが, グルコースと異なり, リポタンパク由来の脂肪酸はホルモンのコントロールを受けない点で, 脂肪合成にとってより好ましい材料である。そこで, 血中カイロミクロンを低下させることによって, 高脂肪食によって誘導される肥満を予防できると思われる。キチン・キトサン, コンドロイチン硫酸は, 膵リパーゼの反応を阻害することによって, コンドロイチン硫酸は脂肪酸の吸収も阻害し, また, 乳化オリゴ糖は2-モノグリセリドの吸収を阻害することによって, いずれもカイロミクロンを低下させる。さらに, これらの機能物質はいずれも, 高脂肪食によってマウスに誘導される脂肪組織重量と肝中性脂肪の増加を抑制することが明らかになった。
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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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