日本栄養・食糧学会誌
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食べ物のおいしさと食文化
的場 輝佳
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2002 年 55 巻 4 号 p. 223-225

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抄録

新しい「食生活指針」は, 日本型食生活の再評価を求め, 地域固有の風土で培われた独自の食嗜好 (食文化) の重要性を指摘している。この指針を受けて関西の食嗜好について考えてみた。今日の日本型食生活の原形は弥生時代にみられ, 飛鳥・奈良時代の食卓には現代に匹敵する豊富な食材が登場していた。日本料理を特徴づける「おいしさ」は,「だしの味」にある。食嗜好の地域的特徴を検証することに意義があると考え, 東海道各地域のうどんのだし汁の実態調査を行った。その結果, 関西のうどんのだし汁は, 関東に比べて, 確かに薄味, 薄色傾向にあった。このような関西の薄味文化のルーツは京料理にあると思われる。その昔, 魚介類に恵まれなかった京の都で, 野菜類の風味と色彩を生かす淡色・薄味の料理が生み出され, それが関西特有の薄味嗜好に受け継がれている。

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