日本栄養・食糧学会誌
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食餌制限したラットで誘発する低骨量症に対する運動の効果
孫 〓曼玉城 一大田 豊勝山 直文知念 功
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2003 年 56 巻 4 号 p. 237-242

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抄録

前報では, 食餌制限したラットに骨粗鬆症が発症することを報告したが, 本報では食餌制限しても適切な運動をすると予防が可能であることがわかった。6週齢の Wistar 系雌ラットを10日間自由に摂食させて予備飼育した後, 5匹ずつ4群に分けた。そのうち2群は標準食AIN-93Gを自由摂食させ, 残りの2群はタンパク質, ミネラルおよびビタミン量を標準食の2倍に調製した。制限食を自由摂食群の摂食量に対して50%食餌制限した。自由摂食群と制限摂食群のそれぞれ1群については1日10分間, 時速0.7kmのランニングを負荷し, 低骨量症症状の有無について調べ, 次の結果を得た。(1) 標準食を自由に摂食した Group 1の体重は3週間で, 35g増加した。食餌制限のみの Group 3と食餌制限し, 運動負荷した Group 4の体重は最終的に Group 1と比べて, それぞれ49gと44g減少した。(2) 食餌制限のみの Group 3は骨密度と骨の破断エネルギーが減少し, X線写真の透過度が高くなり, 低骨量症を呈した。(3) 食餌制限しながら運動を負荷した Group 4はこのような低骨量症にはならなかった。この程度のランニングはこの低骨量症の予防に有効であると思われた。(4) このように炭水化物と脂肪を減らし, 食餌制限すると低骨量症になることから, 低骨量症予防上では, 食餌制限することなく, 炭水化物と脂肪を不足することなく摂取することが望ましい。(5) 減量で, 炭水化物と脂肪を減らし, 食餌制限して誘発する低骨量症を予防するには, タンパク質, ミネラルおよびビタミンを不足することなく摂取し, さらに運動をする必要がある。

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