日本栄養・食糧学会誌
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食品成分と循環器疾患
茶カテキンの動脈硬化, 脳卒中進展抑制効果を中心に
富田 多嘉子
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2004 年 57 巻 1 号 p. 21-26

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抄録

動脈硬化の発生, および脳卒中発症において, 種々の酸素ラジカルが関与する. そこで, フラボノイドの中でもきわめて高いラジカル消去能を有する茶カテキンについて, 動脈硬化抑制作用および脳卒中発症・進展抑制効果について検討した. 茶カテキンのうち, EGCg, ECgは強い血小板凝集抑制作用を示した. またカテキン各成分は, in vitro における低密度リポタンパク質 (LDL) の酸化を著明に抑制した. さらに, ボランティアが茶カテキン抽出物を1週間摂取することにより, LDLの酸化遅延時間は摂取前に比し有意に延長された. またアポE欠損マウスにおいて, 茶カテキン抽出物の投与は動脈硬化の進展を有意に抑制した. 一方, 中大脳動脈を結紮した脳梗塞モデルラットに手術前および実験中, 茶カテキン抽出物を投与すると, 脳障害による神経症状の改善, 血漿カテキン濃度に依存した脳虚血体積の縮小, 虚血部位周辺の好中球の浸潤その他の虚血マーカーの減少が認められた. 以上の結果, 茶カテキンの常飲は, 循環器疾患の予防, 進展の抑制に効果的に作用することを示唆している.

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