日本栄養・食糧学会誌
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梅酢抽出物が高コレステロール食飼育脳卒中易発症性高血圧自然発症ラットの血圧と脂質代謝に及ぼす影響
高寺 恒慈小川 博目黒 忠道白坂 憲章吉栖 肇
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2004 年 57 巻 6 号 p. 249-255

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抄録

梅酢は日本の伝統食品である梅干の製造過程における梅果実からの浸出液である。本研究では梅酢より梅酢抽出物を調製し, その摂取が脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット (SHRSP) の血圧および脂質代謝に及ぼす影響を調べた。6週齢雄性SHRSPを使用し, 対照群には1%コレステロール含有カゼイン食を, 梅酢抽出物摂取群には対照食に1%梅酢抽出物を添加した飼料を, 飲水とともに6週間自由摂取させた。摂取4週目以降, 梅酢抽出物摂取群では対照群に比べ収縮期血圧の経時変化において有意な上昇抑制が観察された (Time by Treatment Effect, p<0.001 by Two-way repeated ANOVA)。血清脂質では, 梅酢抽出物摂取群においてリピドヒドロペルオキシドが有意に低値 (p<0.05) を示した。また肝臓脂質では梅酢抽出物摂取群においてトリグリセライド含量が有意に低値 (p<0.05) を示した。以上のことから, 梅酢抽出物は, 高コレステロール食飼育SHRSPの血圧上昇, 血清過酸化脂質上昇, そして肝臓トリグリセライド蓄積のいずれに対しても抑制作用を有することが明らかとなった。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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