日本栄養・食糧学会誌
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SHRSPの高血圧性臓器障害発生に対する植物性フラボノイドの影響
竹森 久美子山本 和夫石田 浩之伊藤 浩行
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2005 年 58 巻 3 号 p. 131-138

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抄録

高血圧性血管病変発症に対する植物性フラボノイドの影響を検討した。生後21週齢の雌性SHRSPに両側卵巣摘出手術を行った後, 1%NaCl水を負荷して重症高血圧を惹起した。30週齢から3群に分け, flavonoid (FL) 群にはレモン果皮 flavonoid 0.2%含有食を, isoflavone (iso) 群には isoflavone aglycon 0.15%含有食を6週間投与した。投与群では血圧への影響は認められなかったが, 脳病変発症抑制傾向が認められた。iso 群では大脳皮質における aquaporin-4 の発現抑制, 大動脈の伸展性の保持, 大動脈中膜におけるbFGFの発現抑制など, 血管の機能低下に対する抑制が認められた。FL群ではDNA酸化の指標である8-OHdGが著しく低値を示した。培養ヒト内皮細胞を用い, ラジカル刺激に対するフラボノイドの影響を検討したところ, レモンフラボノイド主成分である eriocitorin を投与した群では, NADH/NADPH oxidase 阻害剤であるDPIと同様に, 可溶性ICAM-1の発現の抑制がみられ, ラジカルスカベンジャーとしての効果が認められた。以上, 2種のフラボノイドはそれぞれ異なる作用で血管障害発生に対し防御的に作用しており, その一つはエストロゲン作用に基づくことが示唆された。

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