抄録
成長期の脂肪摂取量の差異が成熟後の脂肪摂取嗜好に及ぼす影響を高脂肪食飼料-1 (HFD-1), 低脂肪食飼料 (LFD) と等カロリーにセルロースで調製した高脂肪食飼料-2 (HFD-2) を用いて調べた。4週齢の Fischer 344系雄ラットを, LFD (LFD群), HFD-1 (HFD-1群), HFD-2 (HFD-2群) で8週間飼育後, LFD群は2群に分けた。LFD群の1群とHFD-1群をI組とし, 残りのLFD群とHFD-2群をII組とし, I組にはLFDとHFD-1を, II組にはLFDとHFD-2を同時に与えて4週間選択摂取させた。実験期間を通していずれの群も等カロリーになるよう飼料を摂取しており, 各群間に体重差はみられなかった。選択摂取期間のHFD摂取割合は, I組のHFD-1群が80%, LFD群が55%, II組のHFD-2群が20%, LFD群が27%であった。したがって (1) HFD-1の嗜好性はHFD-2よりも高い, (2) HFD-1摂取は成長期の脂肪摂取量の差異が成熟後の脂肪摂取嗜好に影響を及ぼす, (3) HFD-2摂取は脂肪の過剰摂取を予防する, と考えられた。