2018 年 35 巻 2 号 p. 118-121
[目的]筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)に対するリハビリテーションには賛否両論がある.今回,edaravone点滴で入院した症例にリハビリテーション介入を行い,その有用性を検討したため報告する.[方法]上肢機能に脱力を認め,edaravone点滴を6クール施行したALS患者5例(男性2名,女性3名)を対象とした.Edaravone点滴1クールごとに,リハビリテーションを行い,各クールの点滴開始前後に簡易上肢機能検査(Simple Test for Evaluating Hand Function:STEF),握力,ピンチ力等にて上肢の動作機能を評価した.歩行評価に関しては,Timed Up & Go Test(TUGテスト)を用いた.それらの評価をもとにリハビリ訓練の立案やホームエクササイズ指導を各症例に行った.[結果]Edaravone点滴とリハビリテーションの介入によって数値データでは向上を認める結果となった.特に握力改善例が4例,STEF評価改善例が2例という結果で上肢機能の改善を認めた.握力低下の平均は−1.7kg,ピンチ力低下の平均は−1.2kgであった.また,歩行に関しては下肢装具療法を用いることで歩行時間の短縮を認める症例も見られた.[結論]Edaravone点滴とリハビリテーションの複合的治療介入ではALSの上肢機能を向上できることが推察された.