抄録
理工系学生の英語運用能力、特に読解力は、専門知識を活用して課題解決に貢献するために不可欠とされている。本研究では、英語の文章の読解方略のひとつとしてチャンキング指導を取り上げ、理工系の大学生19名を対象に、指導の効果を理解度・読解速度・視線の動きの変化の観点について分析した。実験では、初級レベルの文章については指導後に理解度の向上の傾向が認められたものの、上級レベルの文章については効果が見られなかった。また、視線追跡の結果から、チャンキング指導が読解プロセスに一定の影響を与え、その影響は対象とするパッセージのレベルによって異なることが示された。本研究は、理工系学生を対象とした読解指導の改善に、チャンキング指導が効果的なストラテジーとして活用できる可能性を示すものである。今後は、長期的な効果の検証や他の読解手法との比較が求められる。
キーワード:英語教育、読解指導、チャンキング、視線追跡