2020 年 32 巻 5 号 p. 860-865
聴導犬は,聴覚障害者であるユーザを探し,重要な生活音の発生を身体接触によって迅速に伝達するが,その実働頭数は非常に少ない.その問題解決の1つとして,現在,聴導犬ロボットが提案されている.古田らは,聴導犬ロボットが行うユーザ探索において,過去の探索データからユーザの生活パターンを推定し,それを活用することを提案した.この提案の目的は,ロボットがより迅速にユーザを発見することである.しかしながら,古田らの生活パターン推定方法は,過去の探索データの不足や偏りに対して脆弱と考えられる.そこで,本稿では,過去の探索データをクラスタリングして,適当な確率分布として生活パターンを推定する方法を提案する.提案手法では,クラスタリングにディリクレ過程混合モデルを採用した.実験として,一定の生活パターンを持つユーザをシミュレーション環境上に設定し,聴導犬ロボットがユーザを発見するまでに要した探索時間を評価した.実験の結果,古田らの従来手法に比べ効率的な探索を示す結果が得られた.