2020 年 32 巻 5 号 p. 866-868
古典論理での三段論法(肯定法)では,含意文:“P implies Q” が正しくかつ含意における前件部が真のとき後件部を真とするが,前件部が偽のとき後件部については何も述べることはできない,他方,ファジィ推論においては,結論を表現するメンバーシップ関数の値がすべて1のとき,これを unknown と定義している.Max-⊗合成(⊗はT-ノルム)について,水本はファジィ関係,⊗,およびファジィな入力の色々なケースについて推論結果を求めている.本稿では,これら84通りのファジィ推論の計算結果を5つの規範的ルールに基づいて検討する.ファジィ関係をファジィ含意に基づいて構築する立場で考え,ポーラーケースにおいては通常のモダス・ポーネンスに還元されること,含意文:“P implies Q” の前件部が否定されるとき結論については unknown となることは5つの規範のうちの一つとなる.