知能と情報
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原著論文
有向研究者ネットワークによる研究の役割を考慮した共同研究者推薦
中村 幹太岡本 一志
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2021 年 33 巻 3 号 p. 686-696

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抄録

有向研究者ネットワークを使用し,共同研究における研究代表者と研究分担者の役割を考慮した研究者推薦モデルを提案する.提案モデルでは科学研究費助成事業データベースの研究課題データを用いて研究者間のエッジベクトルを定義し,ロジスティック回帰による推薦スコアの高い上位k人の推薦リストを出力する.評価実験では,推薦精度normalized Discounted Cumulative Gain(nDCG)@kを提案モデルと5つのベースラインモデルで比較する.ベースラインにはAdamic/Adar,Hasanモデル,CCRec,Arakiモデル,LDAcosinを用いる.実験結果より,同一機関に所属したことのある研究者を推薦する場合,推薦精度指標のnDCG@kがベースラインモデルよりも高くなることを明らかにしている.CCRec以外のモデルにおいて,代表者推薦よりも分担者推薦のnDCG@kが高いことから,予測の難易度が異なると考えられ,エッジの向きを考慮することで分担者推薦が容易に予測できる可能性を示唆している.提案モデルによって推薦される研究者は他のモデルに比べ代表者推薦のPageRankの平均が高く,共同研究の実施回数も多い研究者を推薦できることを確認している.提案モデルとHasanモデルの推薦リストの相違の比較より,推薦システムを実装する際には複数のモデルを組み合わせて推薦することが可能である.特徴量のロジスティック回帰分析により,共通代表者数と共通分担者数のオッズ比に差があることを確認している.これらの特徴量は有向グラフのみ定義可能であり,提案モデルが代表者と分担者の違いを考慮していることを示している.

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© 2021 日本知能情報ファジィ学会
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