2023 年 35 巻 1 号 p. 598-602
本研究は,薄暮に歩行者と車両との交通事故が多くなる原因を,歩行者の薄暮における視覚特性から検討したものである.この視覚特性をデータ化するために,視線計測装置を装着した実験協力者が,車両とすれ違う右側の歩道を日中,薄暮,夜間に歩行する実験を行った.視対象は静的対象(動かないもの)と動的対象(接近して来る車両)に分けて,実験により得られた視線データを解析した.結果として,薄暮における視覚特性は,日中と夜間との中間的なものではなく,薄暮特有のものであることが分かった.そして,薄暮には,動的対象を注意深く見ることが疎かになり,その動的対象を見るタイミングは,特定の距離に限られる傾向があることが明らかになった.