地域漁業研究
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論文
琵琶湖産淡水魚介類の流通と加工
塚本 礼仁
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2013 年 53 巻 3 号 p. 47-68

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抄録

本稿の目的は,琵琶湖産淡水魚介類(湖魚)のフードシステムの実態を把握することである。そのために,漁業生産から流通,加工,そして地場消費の動向を調査し,得られた情報の分析をおこなった。

琵琶湖漁業の漁獲量は明らかに縮減傾向にある。漁獲努力はコアユに集中するが,加工原料として需要のあるフナ,ハゼ類,モロコ,エビ,シジミは軒並み不振である。アユを中心とする内水面養殖業の生産量も,ピーク時の半分ほどにまで落ち込んだ。

湖魚の流通をみると,鮮魚のほとんどが滋賀県内で加工され,やはり滋賀県内で消費される。県外への流通ルートは二つあり,一つは放流用・養殖用種苗としてのコアユ移出,もう一つは歴史的に結びつきの強い京都市場への出荷(コアユ,モロコなど)である。 湖魚の加工は,琵琶湖の漁港付近に集まる「湖魚業者」が担う。それらは一般的に,活魚・鮮魚の取り扱い,加工品の製造・販売,内水面養殖業などを兼ねる。主力商材は,コアユなどのつくだ煮とフナずしであるが,どちらも原料調達面の不安が表面化している。

湖魚は地域の日常食・大衆食である。しかし,漁獲量の減少や魚食離れなどによる市場の縮小が懸念されており,行政主導で農林水産物の地産地消促進プロジェクト(「おいしが・うれしがキャンペーン」,2008年~)がスタートした。

このように,湖魚のフードシステムは,閉鎖水域の漁業資源と限定された地場需要,そしてこれらをつなぐ地域産業によって成り立っている。琵琶湖の「漁業環境」の変化はそのバランスに影響を及ぼしつつあり,今後の動向も注視すべきであろう。

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© 2013 地域漁業学会
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