日本口腔インプラント学会誌
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特集 審美領域のインプラント治療の長期予後
審美性を長期間維持するために必要なインプラント周囲組織マネージメント
石川 知弘小川 雄大北島 一福西 一浩
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2019 年 32 巻 4 号 p. 285-294

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抄録

近年,インプラントの成功基準に術者と患者が審美的に満足することが条件として加えられていることは,広く知られている.しかし前歯部において周囲組織を伴い多数歯を欠損した場合,インプラント治療によって審美性を獲得することは容易ではない.本稿では前歯部インプラントを長期的かつ審美的に成功させるための要件について検討する.

審美エリアのインプラント治療に際し,術前に十分な相談をして実現可能な治療目標について,術者と患者との共通の認識をもつことが重要となる.

患者がハイスマイルを有し,補綴装置と残存軟組織との境界が露出し外科的な再建が必要な場合,術者はサージカルテンプレートにて必要な硬・軟組織のマネージメントおよびそれを獲得するための処置を把握することが重要である.

患者がロウスマイルである場合は補綴的に改善できるとされており,90%以上において歯間乳頭の一部が露出することが報告されている.またわずかでも露出する歯間乳頭は歯冠形態の表現に重要で自然なスマイルを実現するために大きな役割を果たすという報告もある.

組織保存の有効な方法としてpartial extraction therapyがあり,組織を失った際の増大の有効な方法としてはGBRが挙げられ,三次元的な審美性の獲得を可能にする.

良好な軟組織のマネージメントには,再生骨の維持や十分な軟組織のボリュームの獲得,軟組織に調和した補綴が必須であり,それはメインテナンス期間の問題の解決策にもなり得る.

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© 2019 公益社団法人日本口腔インプラント学会
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