日本口腔腫瘍学会誌
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原著
エナメル上皮腫に対する外科療法の治療成績と再発に関する臨床的検討
吉田 祥子塚本 剛一吉岡 徳枝志茂 剛岸本 晃治西山 明慶大山 和彦目瀬 浩長塚 仁佐々木 朗
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2010 年 22 巻 1 号 p. 37-43

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抄録
エナメル上皮腫の治療法については論議のあるところである。当科においては,周囲骨の穿孔がないかもしくはわずかであれば,保存的外科療法―骨面削除と凍結療法を併用した摘出術―を基本的に選択している。当論文では,当科開設の1982年から2007年までの25年間に経験したエナメル上皮腫50例,特に再発症例について検討を行った。
50例の手術の内訳は,摘出術12例,摘出と骨面削除または骨面削除および凍結療法(摘出+補助療法)が21例,顎骨切除(辺縁切除と区域切除)が17例であった。再発は6例であり(再発率:12%),摘出術に5例(再発率:42%),摘出+補助療法に1例(再発率:5%)認めた。顎骨切除術は再発を認めなかった。摘出と顎骨切除との間および,摘出と摘出+補助療法との間に再発率に関し有意差を認めた。
以上より,エナメル上皮腫の保存的外科療法において,骨面削除と凍結療法は有用であることが示唆された。
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© 2010 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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