抄録
エナメル上皮腫の治療法については論議のあるところである。当科においては,周囲骨の穿孔がないかもしくはわずかであれば,保存的外科療法―骨面削除と凍結療法を併用した摘出術―を基本的に選択している。当論文では,当科開設の1982年から2007年までの25年間に経験したエナメル上皮腫50例,特に再発症例について検討を行った。
50例の手術の内訳は,摘出術12例,摘出と骨面削除または骨面削除および凍結療法(摘出+補助療法)が21例,顎骨切除(辺縁切除と区域切除)が17例であった。再発は6例であり(再発率:12%),摘出術に5例(再発率:42%),摘出+補助療法に1例(再発率:5%)認めた。顎骨切除術は再発を認めなかった。摘出と顎骨切除との間および,摘出と摘出+補助療法との間に再発率に関し有意差を認めた。
以上より,エナメル上皮腫の保存的外科療法において,骨面削除と凍結療法は有用であることが示唆された。