日本口腔腫瘍学会誌
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症例
口底癌(T4aN3M0)に対して温熱化学放射線療法が著効した1例
柴崎 麻衣子光藤 健司岩井 俊憲矢島 康治大屋 貴志大原 良仁光永 幸代廣田 誠藤内 祝
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2011 年 23 巻 1 号 p. 9-15

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抄録

われわれは口底癌(T4aN3M0)に対し,温熱化学放射線療法が著効した1例を経験したので報告する。
口底部の腫瘤を主訴に60歳代男性が当科を紹介受診した。口底には40×35mmの腫瘍を認め,左側頸部の腫脹も認めた。CTでは腫瘍は外舌筋へ浸潤し,大きさは42×35×30mmであった。また,レベルIIからIVには6cmを超える大きな転移リンパ節を認めた。生検および画像検査の結果,口底扁平上皮癌(T4aN3M0)と診断した。患者は原発部位の温存を希望し,頸部郭清術以外の手術については同意しなかったため,原発巣へは両側浅側頭動脈よりの逆行性超選択的動注法を用いた連日同時放射線化学療法(シスプラチン:計264mg,ドセタキセル:計144mg,外照射:1.8Gy/回,計59.4Gy)を施行し,頸部に対しては温熱放射線療法を行った(RF誘電加温,計2回)。治療後,原発巣および頸部リンパ節転移はともに著明に縮小した。治療終了6週後に原発および頸部の治療効果はCRと判定した。しかし,CTで肺転移を認めたため化学療法を施行したが,治療終了20か月後に死亡した。経過観察中には,原発および頸部の再発を認めなかった。

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© 2011 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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