日本口腔腫瘍学会誌
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症例報告
重度肥満を合併した進行下顎歯肉癌の周術期に脂肪切除術を併用した気管切開術を用いて気道管理を行った1例
内田 堅一郎河井 由衣上山 吉哉
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2017 年 29 巻 3 号 p. 135-140

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抄録

重度肥満患者の気道管理はしばしば困難を伴う。気管切開を行う際には肥厚した脂肪組織が気管へのアプローチを困難にするとともに,頸部の屈曲や進展を行う際に気管カニューレが気管孔から脱離する危険性がある。重度肥満を合併した進行下顎歯肉癌症例の周術期に,脂肪切除術を併用した気管切開術を施行し気道管理を行った1例を報告する。
患者は43歳の男性である。近医歯科で診断された下顎歯肉癌の治療を目的として受診した。身長171cm,体重108kg,BMI:36.8と重度肥満を合併していた。CT像では,皮膚表面と気管の距離は第2気管軟骨輪レベルで約5cmであった。諸検査の後,左側下顎歯肉癌(T4aN2bM0)と診断した。気管切開術,左側下顎区域切除術,全頸部郭清術変法およびチタン製プレートと前外側大腿皮弁を用いた再建術を施行した。手術時に,横切開とカニューレの脱落を予防するための脂肪組織切除を併用した中気管切開術を施行した。術後は,挿入長を適合させるために調節可能な気管カニューレを使用した。術後15日目に,経過良好につき気管切開を併用した気道管理を終了した。

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© 2017 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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