2017 年 29 巻 4 号 p. 172-176
高齢者は高血圧症,糖尿病あるいは肝臓・腎臓,呼吸器系障害などの併存疾患を有することがある。高齢者口腔癌患者に対する手術,化学療法,化学放射線療法などの治療法は多くの専門によるチームによって,原発部位,腫瘍の進展範囲,患者の年齢,併存疾患の有無,治療に対する患者の希望などから決められる。高齢者口腔癌患者に対する手術は生存率の向上に寄与するが,局所進行口腔癌に対する拡大手術は嚥下,発語障害を引き起こし,QOLに影響を及ぼすことがある。高齢者口腔癌患者に対する根治療法として放射線療法,化学放射線療法が選択されることもあるが,若年者と比較すると治療中の有害事象が多い傾向にある。
本総説では高齢者口腔癌患者に対する逆行性超選択的動注化学療法と放射線療法との連日同時併用療法の有用性について述べる。