日本口腔腫瘍学会誌
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症例報告
口腔癌術後に発症した急性呼吸促迫症候群の1例
柚鳥 宏和松本 耕祐岩谷 博篤石田 優松尾 健司橘 進彰古森 孝英
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2017 年 29 巻 4 号 p. 219-225

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抄録
急性呼吸促迫症候群(ARDS)は重篤な呼吸不全で死亡率は高い疾患である。われわれは,術後の口腔癌患者で発生したARDSの症例を報告する。症例は,76歳の男性,頰粘膜癌の根治手術を受けるために入院した。患者は根治手術後に腓骨皮弁の壊死をきたし,これが原因で術後感染を起こし,ARDSを発症した。胸部X線画像では両肺の肺胞浸潤が見られた。P/F比でも気管カニューレから8l/分の酸素流量で,99.1mmHgに低下した。人工呼吸管理,創部の外科的デブリードマンと薬物療法にて加療した。肺の酸素化は,P/F比は203mmHgに改善し,10日後に呼吸器から離脱した。
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© 2017 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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