抄録
囊胞腺腫はまれな唾液腺良性腫瘍であり,単房性または多房性の囊胞からなる。全小唾液腺腫瘍の2-4.7%を占め,通常口唇・口蓋・頰粘膜に生じ,臼後部での発生はまれである。今回83歳男性の左側臼後部に生じた囊胞腺腫について報告する。臨床所見は15×18mm大,弾性軟,表面平滑で一部青紫色を呈する境界明瞭な腫瘤を認めた。MRIで腫瘍は境界明瞭で周囲に造影効果を伴う腫瘤として描出された。臨床診断は良性腫瘍。全身麻酔下に腫瘍切除術を行い,病理組織学診断は囊胞腺腫であった。3年経過したが,再発は認めていない。