抄録
口腔白板症は,口腔潜在的悪性疾患の中で代表的な疾患であり,そのマネジメントの目的は,臨床・病理組織学的特徴を的確に評価して再発や悪性転化に関わるリスク因子を理解し,経過観察を含めた適切な対応によって悪性転化リスクを最小限に抑えることである。しかし,外科的介入の適応や経過観察の選択については,いまだ明確なコンセンサスが得られていない。本稿では,最新の文献的知見に基づき,本疾患の再発および悪性転化に関与する臨床学的・病理組織学的因子について整理した。
臨床型や発生部位,上皮性異形成の程度は予後を左右する重要な指標であり,特に外科的切除後の再発は,その後の悪性転化リスクを著しく高める要因となる。したがって,外科的介入に際しては適切な切除安全域を確保し,再発を最小限に留める戦略が不可欠である。一方で,病態や患者背景によっては,非侵襲的介入である厳重な経過観察が適切な選択肢となり得ることも示唆されており,各症例のリスクプロファイルに応じた個別化医療の重要性がより一層明確となっている。今後は,本邦においても実態に即したエビデンスの蓄積が求められる。また,AI技術やバイオマーカーを用いた客観的な予後予測システムの導入により,より精度が高く,かつ低侵襲なマネジメント体制が確立されることが期待される。