抄録
下顎歯肉癌におけるT分類はT4の基準に問題があり解釈が分かれるところであった。日本口腔腫瘍学会ではこの問題に対して1993年第11回総会でワークショップを持ち, その後数年におよぶ検討をおこなった結果から下顎管分類がもっとも妥当であると結論された。その際に賛同がえられた全国24施設から下顎歯肉癌として登録された1187症例をもとに, それら症例の詳細について統計学的に分析した。登録症例の治療法, 治療成績を分析資料として, 多変量解析として数量化理論2類, ロジステック回帰分析などの結果から原発巣再発の相対危険度を算出した。下顎歯肉癌の外科的治療では下顎辺縁切除か下顎区域切除かが大きな選択のポイントになるので, 多変量解析の結果をもとに下顎管分類と骨浸潤様式分類を組み合わせて推奨される切除法を提案した。要約すると, 下顎管分類のT分類でT1は原則辺縁切除以下, T4はすべて区域切除以上とし, T2, T3では骨浸潤なし, 歯槽骨浸潤平滑型, 下顎管上浸潤平滑型では辺縁切除以下が適応となるが, T2, T3でも歯槽骨浸潤虫喰い型, 下顎管上浸潤虫喰い型では区域切除以上が適応と考えられる。