抄録
進行性口腔癌3症例に対しinterleukin-2 (IL-2) を投与して, 免疫学的活性を観察した。
症例1: 77歳の男性, 頬粘膜再発性扁平上皮癌。2.59×107JRU (Japan Reference Unit) のIL-2を腫瘍周囲の組織内に24日間注射した。腫瘍の縮小が認められ, PRと診断したが, その後腫瘍は増殖し, 患者は4年後に死亡した。
症例2: 66歳の女性, 頬粘膜の進行性扁平上皮癌。7.7×106JRUのIL-2を11日間静注した。腫瘍は増殖し, 放射線や化学療法を行ったが2か月後に死亡した。
症例3: 63歳の男性, 上顎洞扁平上皮癌。上顎切除後, 翼突窩に腫瘍の残存が認められた。1.54×107JRUのIL-2静注が60Co照射と併用された。患者は1988年以来, 腫瘍を認めず生存中である。
好酸球は症例1で増加し, リンパ球は症例1および3で増加した。数種類のリンパ球phenotypeは症例2で高値を示したが, 処置後は増加しなかった。症例1および3においてはCD57とCD16がIL-2投与後増加した。NKおよびLAK活性もまた投与後増大した。