1992 年 4 巻 2 号 p. 236-239
耳下腺手術で顔面神経主幹を探求する一方法として, 乳様突起前方切痕 (鼓室乳突裂の最下端点) を解剖学的標識とする手段について報告する。すなわち, 同標識を触知しながら見極め得るように探り深部に向って進む。次に同点におき乳様突起前縁から1cm深部に進むと, この位置で顔面神経主幹を確実に発見することが可能である。本法は, 顔面神経主幹を探求するにあたり簡単かつ安全で, 個体差や腫瘍病変などによる影響を受けず, また正に茎乳突孔そのものの解剖学的位置を示しているため極めて有用である。