日本口腔腫瘍学会誌
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口腔扁平上皮癌T1症例における頸部リンパ節転移の免疫組織学的検討
―組織学的悪性度, 細胞外基質出現状態と頸部リンパ節転移の関連性について―
深川 淳至篠原 正徳原田 猛中村 誠司池辺 哲郎嶋田 誠岡 増一郎
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1995 年 7 巻 2 号 p. 60-69

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抄録

頸部リンパ節転移は早期の口腔扁平上皮癌においても認められることがある。今回われわれは, 転移例と非転移例で, 組織学的悪性度および細胞外基質の出現状態における差異を明らかにする目的で免疫組織学的検索を行なった。検索症例は, 扁平上皮癌T1症例31例である。このうち8例において転移が認められた。
転移例では, 複数の節外進展リンパ節転移を大部分の症例で認め, 予後不良であった。原発巣における免疫組織学的所見では, 転移例は以下のような特徴を有していた。
1) 腫瘍浸潤様式, 浸潤程度, 間質反応から判断される組織学的悪性度が高かった。
2) 腫瘍間質においてFibronectin, Tenascinの出現状態の増強と, Decorinの出現状態の低下が認められた。
このことより, T1症例であっても上記のような症例は高い転移能を有するものと考えられ, 予防的頸部郭清術を考慮すべきと思われた。

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