日本口腔腫瘍学会誌
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口腔癌患者におけるグラニセトロンによるカルボプラチンの悪心嘔吐抑制効果について
―多施設共同研究―
松浦 正朗瀬戸 〓一藤田 浄秀大村 進岡部 貞夫天笠 光雄岩城 博野間 弘康片倉 朗本間 義郎木下 靱彦
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1995 年 7 巻 3 号 p. 159-167

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抄録
カルボプラチン (CBDCA) により誘発される悪心嘔吐に対するグラニセトロンの予防効果を検討する目的で, 多施設による共同研究を実施した。6施設からの30名の口腔癌患者をこの研究の対象とし, 各患者に対しCBDCA (200~350mg/m2) 投与直前にグラニセトロン3mgを静脈内に投与した。
悪心嘔吐の発現頻度と, その程度を, 5日間にわたり観察した。
悪心は30名中8名に出現したが, 5名の患者ではCBDCA投与当日に軽度の悪心が出現したのみであった。残り3名では2~3日間悪心が継続し, うち1名は3日目に中等度の悪心を訴えた。
嘔吐が認められたのは1名のみで, CBDCA投与後第3日目に3回, 第4日目に1回嘔吐した。この患者は第3日目に中等度の悪心を訴えたものと同一の患者であった。
本研究の結果, 73.3%の患者で悪心の発現はなく, 96.7%の患者で嘔吐は認められず, 最終効果判定ではグラニセトロンは96.7%の患者において著効, 残りの3.3%は有効と判定された。
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