日本口腔腫瘍学会誌
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エナメル上皮腫の臨床病理学的研究
大亦 哲司森田 展雄和田 健宮田 和幸武用 由加畠 祥子坂本 忠幸
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1996 年 8 巻 1 号 p. 16-24

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抄録

対象は, 1975年から1994年までの20年間に当科を受診し, エナメル上皮腫で治療を行った40例 (男19例, 女21例) ,
1) 発生年齢のピークは30, 40歳代で平均年齢36.7±19.8歳であった。
2) 発生部位は上顎5例, 下顎35例で下顎が87.5%を占めた。
3) X線所見では, X線単房性を呈する症例が18例, X線多房性が12例, X線蜂窩状が8例と, 単房性が多くみられた。
4) 病理組織分類では, 26例のfollicular pattern症例のうち, 6例に細胞亜型 (acanthomatous type4例, granular cell type1例, desmoplastic ameloblastoma1例) がみられた。14例のplexiform pattern症例のうち, 1例にacanthomatous typeの細胞亜型がみられた。
5) 治療方法の内訳は, 「開窓療法」2例, 「腫瘍摘出・創面開放」16例, 「腫瘍摘出」10例, 「根治的切除」12例 (上顎部分切除1例, 下顎辺縁切除2例, 下顎離断9例) 。
6) 再発は5例に認められたが, 切除群には再発はみられなかった。
7) Unicystic ameloblastoma (以下UA) は, 8/40例 (20.0%) にみられた。UA以外の症例の平均年齢41.1±18.4歳に比べ, 19.0±8.5歳と若かった (p<0.01) 。再発はみられなかった。

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