日本口腔腫瘍学会誌
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口腔癌に対するネオアジュバント化学療法の有用性
1.2経路注入法を組み入れたシスプラチン-ビンブラスチン-ペプロマイシン併用療法 (CVP療法) の直接効果と予後に及ぼす影響
和田 健畠 祥子森田 展雄大亦 哲司井辺 弘樹岡本 圭一郎松平 淳武用 由加神木 茂樹宮田 和幸坂本 忠幸川島 稔弘湯浅 祥司原田 昌和坂上 卓也寒川 俊子
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1996 年 8 巻 1 号 p. 8-15

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抄録

未治療の口腔, 上顎洞, 口峡咽頭原発の扁平上皮癌患者35名に対し, シスプラチンとその拮抗剤であるチオ硫酸ナトリウムを用いた2経路注入法とビンブラスチンとペプロマイシンの静脈内投与から成るネオアジュバント化学療法を施行し, その治療効果について検討した。
化学療法の奏効率は91.4%で, CR率は57.1%であった。非担癌他病死例を除外すると, 累積5年生存率はCR群では100%であり, PR+NC群では87.5%であった。本化学療法は適正な支持療法を行うことにより, 短期間で遂行することが可能である。20名のCR患者の内12名に縮小手術が施されたが, 全ての患者が非担癌で良好な口腟機能を保持している。
これらのデータは, この化学療法のレジメンが頭頸部癌の治療により効果的であることを示している。この結果はまだ予備的なものであり, さらに症例を加えて検討する必要がある。

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