抄録
運動は気管支喘息を悪化させる一方で治療にも用いられてきた.今回われわれは,各種スポーツ選手における喘息有症率,喘息と運動に関するコホート研究,治療としての運動の役割などについて過去の多くの文献から現在明らかとなっていることを整理した.
冬のスポーツ,長時間継続するスポーツ,水泳では有症率が高く,また大気汚染や屋内プールの塩素の与えるリスクについても詳述した報告があった.水泳を含めた運動(療法)は心肺機能を向上させ喘息症状を著明に改善するが,安静時肺機能や気道過敏性についての影響は明らかではなかった.
また,以前より喘息児に対して盛んに行われてきた水泳について,近年増加し続けている肥満と喘息の関係についても検討した.