日本小児アレルギー学会誌
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第44回日本小児アレルギー学会シンポジウム7 アレルギー疾患の分子生物学的アプローチ
アレルギー疾患の遺伝子発現解析研究の進歩と現状
松本 健治斎藤 博久
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2008 年 22 巻 1 号 p. 52-57

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抄録
標的分子に対して相補的な配列をもつ塩基を基板上に高密度に集積して付着させ,一度に多数の遺伝子の発現を定量化する装置を DNA microarray と呼ぶ.DNA microarray は遺伝子情報の目覚ましい充実とコンピューターテクノロジーの飛躍的な発展によって,極めて強力なスクリーニングツールとしてアレルギー研究の進展に寄与してきた.その用途は炎症細胞や組織細胞のプロファイリングや細胞内/細胞外活性化経路の解析,患者の病態解析など多岐にわたる.この方法論の進歩はアレルギーに関わる細胞のすべてのポテンシャルを網羅的に検討することを現実化し,これまでになかった未知の細胞機能や病態を明らかにしてきた.DNA microarray は将来的には個体すべての生命活動に関わる分子群,蛋白,酵素などのネットワークの全貌が明らかとなる,いわゆる Systems Biology の達成と,患者個人個人の病態を詳細に比較検討して行われるテーラーメード医療の実現のために重要な役割を演じると考えられる.
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© 2008 日本小児アレルギー学会
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