日本小児アレルギー学会誌
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第45回日本小児アレルギー学会シンポジウム3 環境因子がアレルギー疾患の発症に及ぼす影響と発症予防の可能性について
乳児期の黄色ブドウ球菌の皮膚定着とアトピー性皮膚炎の発症
鈴木 修一下条 直樹有馬 孝恭河野 陽一
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2009 年 23 巻 1 号 p. 56-61

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抄録

乳児アトピー性皮膚炎おける皮膚黄色ブドウ球菌の役割を明らかにするために,われわれは千葉市乳児健診において,全乳児のアトピー性皮膚炎の有無および重症度の診断とともに,頬部皮膚黄色ブドウ球菌の培養を行い,生後4か月より1歳6か月,3歳まで追跡した.4か月および1歳6か月において,黄色ブドウ球菌の皮膚への定着はアトピー性皮膚炎の重症度と関連していた.また,4か月および1歳6か月のアトピー性皮膚炎のない児において,黄色ブドウ球菌の定着は後の発症に関連していた.これらの結果は黄色ブドウ球菌の皮膚定着は乳児におけるアトピー性皮膚炎の重症化だけでなく発症にも関与し,黄色ブドウ球菌の皮膚定着防止が乳児アトピー性皮膚炎発症予防の有力な手段となりうることを示唆している.

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© 2009 日本小児アレルギー学会
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