日本小児アレルギー学会誌
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第45回日本小児アレルギー学会シンポジウム6 アレルギー治療薬の小児適正使用に向けて
小児領域の臨床試験と医薬品開発を促進するための海外の取り組み
土田 尚
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2009 年 23 巻 1 号 p. 83-90

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抄録

医薬品の適応外使用問題はアレルギー分野に限らず,世界的な小児領域の問題のひとつとなっている.既に,1990年代から米国や欧州では,それらの解決に向けて,特に法制化を含めた取り組みが進んできた.この,決定的な契機は,米国での AIDS のこどもに対する抗 HIV 薬の必要性から,小児の臨床試験の重要性が強調されたということであったという.
いずれも基本的には飴と鞭という考え方であって,製薬企業に,小児領域の医薬品開発を義務付けるとともに,従った場合にはインセンティブを与えるという方策である.
米国では1997年の FDAMA が2002年の BPCA,2003年の PREA に再認され,さらに2007年の FDAAA によってより強化された.
EU では2007年に Paediatric Regulation が施行された.
これら方策により,欧米では確実に,小児領域の医薬品開発が促進されている.日本にはこのような,小児の臨床試験を推進していくような法律や規則はまだないが,小児科医が安心して診療に専心でき,こどもに最良の薬物療法が提供できるような,これら活動を進めていくための何らかの方策が必要であることに,もはや説明は不要である.

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© 2009 日本小児アレルギー学会
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