日本小児アレルギー学会誌
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シンポジウム5 食物依存性運動誘発アナフィラキシーの診断を考える
食物依存性運動誘発アナフィラキシーの臨床経過と原因食品ごとの診断ポイント
中川 朋子伊藤 浩明
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2017 年 31 巻 1 号 p. 46-52

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抄録

 食物依存性運動誘発アナフィラキシー (FDEIA) は, その診断から治療まで, 未解決の問題が多く残されている. 当科の症例からFDEIAの臨床経過や原因食品ごとの診断ポイントを解説する.

 運動誘発試験は再現性が低く, 陰性でも完全に否定することは困難であるが, 確定診断と患者・保護者の病態理解のために必須である. 食物+運動誘発試験が陰性の場合にはアスピリンの前投与を併用することがあるが, アナフィラキシー誘発リスクが高まるため十分な準備の下で実施すべきである.

 成人の小麦FDEIAに関してはω-5グリアジンが診断に有用だが, 小児では症状誘発を予測するコンポーネントは証明されていない. また, モモFDEIAの診断においては加熱モモの皮膚プリックテストが有用であり, それに関与するコンポーネントとしてPru p 7 (peamaclein) が注目されている.

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© 2017 日本小児アレルギー学会
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