日本小児アレルギー学会誌
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シンポジウム 1:食事指導・免疫療法を極める
Real Worldで見た経口免疫療法の効果
杉浦 至郎
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2025 年 39 巻 1 号 p. 42-47

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抄録

経口免疫療法のreal world dataとしてピーナッツ経口免疫療法薬PALFORZIAを用いた報告があるが,治療開始前の食物経口負荷試験(OFC)による症状誘発閾値確認は必ずしも行われておらず,本邦では参考にしにくい.そこで当センターで行われた非ランダム化比較試験であるslow low-dose oral immunotherapy(SLOIT)のリクルート期間内に行われたOFCの結果,重症アレルギー(総負荷量ゆで卵白,ゆでうどん8.7g以下もしくは牛乳8.7mL以下で明らかな誘発症状あり)と診断された合計259名の患児を対象として,OFCからおおよそ9年後の抗原摂取状況に関して調査を行った.期間内に一度は日常摂取量(鶏卵1個,牛乳200mL,うどん200g)の脱感作状態に到達した患児は,鶏卵94/148(63.5%),牛乳31/60(51.7%),小麦40/51(78.4%)であったが,初回のOFCで重症除外と判断された患児(鶏卵56.3%,牛乳27.3%,小麦66.7%),当初SLOITを希望しなかった患児(鶏卵51.7%,牛乳33.3%,小麦60.0%),SLOITを選択したが計画通りの摂取ができなかった患児(鶏卵55.6%,牛乳44.4%,小麦63.6%)の到達者割合は低い傾向が認められた.脱感作後の運動誘発症状は鶏卵で1/94(1.1%),牛乳で6/31(19.4%),小麦で8/40(20%)に認められた.

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