気管支喘息児は手術時の合併症発生頻度が一般患児より高いことが知られているが, 合併症の発症原因は分析が困難な事が多い. そこで, この研究では従来の検討とは異なり, 小児科・麻酔科・手術担当科についてそれぞれの問題点を明確化し, 診療科毎の具体的な改善すべき点を検討した. 小児科の問題点として, 外来医と病棟医の連携不足, 周術期の管理方針の不統一, アレルギー担当医の参画不足などの問題があった. 手術担当科の領域では, 喘息重症度の評価, 術前アレルギー歴聴取の方法に, 麻酔科領域では, 麻酔前投薬の投与経路や気道確保の方法などに再考すべき点があった. 改善策として (1) 施設の実情にあったアレルギー疾患児のための周術期管理マニュアルを導入し知識の均一化を計る. (2) 手術が計画された場合は気管支喘息合併手術のリスクについて手術担当科へ情報を提供し, 早期に気管支喘息の術前管理を開始する. (3) 麻酔科が行う術前診察には小児科担当医も積極的に参加し術前状態の評価や麻酔方法について検討する機会を持つ. 以上の3点が特に重要であると考える.