日本小児アレルギー学会誌
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テオフィリン製剤により不随意運動をきたした18q-症候群の喘息幼児例に対するクロモグリク酸ナトリウム吸入療法の試み
藤高 道子加藤 恭博村木 可枝溝口 信行佐倉 伸夫上田 一博
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1999 年 13 巻 1 号 p. 18-22

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抄録
18q-症候群のため精神運動発達遅延を有する2歳の喘息女児例にテオフィリンRTC療法を施行したところ, 常用量の投与でテオフィリン血中濃度が低かったにも関わらず, 不随意運動の副作用が生じた. 経口β2刺激剤では興奮性の副作用が生じたため治療が難しく発作が頻発した. 喘息発症当初は吸入指導の困難さ, 吸入療法への非協力的状況から, 自宅での定期吸入療法の効果は期待できないと思われたが, Disodium Cromoglycate (DSCG) の定期吸入を試み, 以後発作回数は減り, DSCG以外の薬剤が殆ど不要となった. 喘息の改善に伴い療育指導への参加が積極的に可能となり, 発達の面でも発作頻発時に比べ良好な経過が得られている. DSCGがどの程度肺内に沈着しているかを知る指標としてDSCG血中濃度を測定したところ, 本症例のDSCG吸入後の血中濃度は, 精神運動発達遅延のない喘息患児でDSCGが有効な症例の血中濃度の平均値と同等であり, 精神運動発達遅延のない児に劣らない量が吸入できていると考えられた. DSCGの常用量投与中に発作回数が増した時はDSCGの増量が有効であった.
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