日本小児循環器学会雑誌
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症例報告
英国における成人期肺動脈弁置換の現況
上村 秀樹
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2015 年 31 巻 4 号 p. 205-211

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抄録
英国の肺動脈弁置換(PVR)の実状を,1)National database(2000年以降),2)一つの主要施設(2004年以降),3)一人のConsultant Surgeon,の3段階の観点から俯瞰する.
1)総計7,028例の成人先天性心疾患手術例のうち25%がPVR(1年生存率98%)で,過去10年間に著増した.
2)PVRを393例に施行,平均32±12歳.ファロー四徴修復術後(242例)および肺動脈狭窄の解除手術後(78例)が主要な病変であった(手術死亡率1.6%).PVRに使用した弁は,生体弁227例,homograftが133例,生体弁付き導管33例であった.
3)117例の成人期PVR例のうち109例が生体弁.先行修復術において肺動脈弁輪が温存されていた31例では弁輪切開後症例に比べて術前心胸郭比は小さい傾向があった(p=0.009).同時術式として,三尖弁手技29例,外科的抗不整脈処置13例,左・右肺動脈起始部拡大を11例に施行した.88例では心拍動下にPVRを行った.8例では大腿動脈カニュレーションを行った.2例が早期死亡(高度右心不全・心室性不整脈).遠隔死亡はなく,再手術を2例に要した.側弯症を30例に認めた.
以上より,英国におけるPVRの現況を,全体像とともに,一部において具体的な臨床要因まで提示した.
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© 2015 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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