日本小児循環器学会雑誌
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症例報告
良性心室期外収縮として長期経過観察中に発症した特発性多形性右室流出路起源心室頻拍の1男児例
菅 敏晃吉田 葉子吉田 修一朗鈴木 嗣敏佐々木 赳藤野 光洋平野 恭悠川崎 有希江原 英治村上 洋介中村 好秀
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2015 年 31 巻 4 号 p. 199-204

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抄録
患者は特記すべき既往歴や家族歴のない11歳男児.6歳時の学校心臓検診で心室期外収縮と診断され,運動負荷による消失を確認後,年1回経過観察されていた.9歳頃から動悸を自覚,11歳時に頻度が増加し,検診時に自覚症状が初めて明らかとなった.Holter心電図で心室期外収縮は全心拍数の25%,最長50秒の持続性心室頻拍を認め,治療目的で紹介され入院となった.入院時偶発的にリンパ節炎で発熱を認めた.心エコー上,基礎心疾患なく心機能は正常だった.多発する多形性非持続性心室頻拍は,強い動悸の症状を伴った.Landiolol持続静注開始により二段脈まで改善,感染症の治癒後に電気生理検査およびカテーテルアブレーション治療を施行した.右室流出路肺動脈弁直下の不整脈起源に対する高周波通電で不整脈は消失した.術後1年半の経過観察期間で再発はない.小児の心室期外収縮・心室頻拍は単形性の右室流出路起源のものが多く,自然予後は良好である.しかしながら,極めてまれに多形性心室頻拍や心室細動にいたる一群が潜在する.多形性心室頻拍の早期発見のためには,学校検診後の経過観察中であっても,自覚症状の出現に特に注意して問診を行う必要がある.
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© 2015 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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