日本小児循環器学会雑誌
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症例報告
肺動静脈瘻を伴う遺伝性毛細血管拡張症の新規遺伝子変異1女児例
池川 健鉾碕 竜範若宮 卓也咲間 裕之中野 裕介森崎 裕子山田 修上田 秀明岩本 眞理
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2016 年 32 巻 3 号 p. 244-249

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抄録
症例は12歳女児.幼児期より鼻出血を繰り返し,母と母方祖父も鼻出血が多い.数年前から運動時の呼吸苦を認めており,近医で多血症を指摘されて精査目的に紹介受診した.左背部に連続性雑音を聴取し,胸部単純X線写真で左下肺野に結節影を認めたことから造影CT検査を施行し,左S1と左S9に異常血管病変を確認した.診断基準に基づき,遺伝性出血性毛細血管拡張症に伴う肺動静脈瘻と診断した.左S9の肺動静脈瘻に対してカテーテル塞栓術の適応と考え,コイル塞栓術を行い,完全閉塞に成功した.術後,運動時の呼吸苦は消失した.本人と母に施行した遺伝子解析の結果,endoglinENG)遺伝子に新規遺伝子変異IVS2-1G>C(c.220-1G>C)が同定され,本変異がHHT発症の原因遺伝子変異である可能性が示唆された.遺伝子変異と疾患関連性について今後の症例の蓄積が必要である.
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© 2016 特定非営利活動法人日本小児循環器学会
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