2020 年 36 巻 4 号 p. 313-320
背景:成人先天性心疾患患者にとって社会的自立は課題となっている.社会的自立にはさまざまな指標があるが,本研究では親と離れて暮らすことを自立の一指標とし,それに関連する要因を検討した.
方法: 20歳以上の患者会所属者を対象に自記式質問紙を配布し回答を得た.親と離れて暮らすことに関連する要因についてロジスティック回帰分析を使用して分析を行った.
結果:対象者1,626名のうち373名から有効回答を得た.親と離れて暮らしている者は135名(36.2%),親と一緒に暮らしている者は237名(63.5%)であり,就労率は61.9%であった.全対象者,および就業者を対象としたロジスティック回帰分析では,親と離れて暮らすことに関連する要因として,疾患重症度,学歴,雇用状況が挙げられた.
結論:成人先天性心疾患患者が親と離れて暮らすには,疾患重症度が低いこと,学歴が高いこと,雇用状況が正規雇用であることが重要であると示唆された.