日本小児循環器学会雑誌
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症例報告
短腸症候群に合併したカルニチン欠乏性心筋症
三木 康暢田中 敏克松岡 道生亀井 直哉小川 禎治富永 健太城戸 佐知子
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2021 年 37 巻 1 号 p. 51-56

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抄録

特発性心筋症の診断には,全身疾患と関連がある二次性心筋症の除外が必要である.栄養素欠乏はその一つである.今回我々は,短腸症候群に合併したカルニチン欠乏性心筋症を経験した.6歳女児が入院5日前から感冒症状があり,起坐呼吸を認めたため入院となった.短腸症候群のため経静脈栄養を行っていた.腸管からの慢性出血による貧血を認めていた.入院時胸部レントゲンでは心胸郭比60%,心エコーで左室内径短縮率17%であった.Hb 6.7 g/dLと貧血を認め赤血球輸血を行い,ミルリノンを投与するも心不全症状は改善しなかった.既往からL-カルニチンを補充し,3日で心収縮は改善した.治療後に遊離カルニチン17.8 µmol/Lと判明し,カルニチン欠乏性心筋症と診断した.カルニチン欠乏は治療可能な二次性心筋症の鑑別の一つとして重要であり,リスクを有する児では定期的な血中濃度測定が望まれる.貧血や感染など心負荷増大時には注意を要する.心機能改善には早期のL-カルニチン補充が重要である.

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