小児歯科学雑誌
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総説
小児期侵襲性歯周炎の発症機構
A. actinomycetemcomitans の骨芽細胞への影響に着目して
鈴木 淳司
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2010 年 48 巻 1 号 p. 20-28

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抄録
小児における侵襲性歯周炎,いわゆる若年性歯周炎においては,Aggregatibacter(以前のActinobacillusactinomycetemcomitansA. a)が高頻度で検出され,宿主の好中球走化性と併せて,特異な歯周炎発症に関与していると考えられているが,いまだそのメカニズムは不明な点が多い。A. a などのグラム陰性菌の産生するLPS は宿主の免疫システムに機能し,破骨細胞の分化を促進することで歯槽骨吸収を惹起されると考えられている。しかしながら,LPS による骨新生への影響は明らかではない。今回,著者らはA. a のLPS が骨芽細胞の分化を阻害し,さらに細胞間ネットワークも阻害することを明らかにし,A. a による歯周炎の発症が,歯槽骨の吸収の促進のみならず歯槽骨新生の阻害も関与している可能性を示した。
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© 2010 日本小児歯科学会
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